僕が愛しているのは義弟(おとうと)



 オレは、オレが驚いたのを喜んでいる葵の手を掴んで引っ張り部屋の中に入れた。

 そして、そのまま葵のことを抱きしめた。


「……隼翔、あったかい……」


「オレも……」


 寒くて凍えそうな冬も、葵と一緒なら、とても温かで穏やかな温もりに包まれる。


「今日、楽しみだね、隼翔」


「ああ、楽しみだな」


 今日はオレと葵は映画を観に行く約束をしている。


「じゃあ、支度が済んだら下に行くよ」


「うん、わかった。また後でね、隼翔」


 葵はそう言ってオレの部屋を出た。





 オレは支度を済ませてダイニングルームに行った。


「おはよう、隼翔」


 そこには母さんと義父さんと姉ちゃんもいた。もちろん葵も。


「おはよう」


 オレも母さんたちに挨拶をする。


「朝ごはんできてるわよ。食べましょ」


 いつものようにやさしい母さんの声。


 そして家族全員で朝ごはんを食べた。


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