僕が愛しているのは義弟(おとうと)



 学校や仕事がある日は家族全員でゆっくり朝ごはんを食べている時間はなかなかとれないけど、休みの日はこうしてゆっくりとみんなで朝ごはんを食べることができる。

 それはとても幸せなことだ。

 みんなで一つのテーブルを囲んでいると、みんなの笑顔を感じることもできるから、それもとても幸せな気持ちになる。

 母さんの笑顔、義父さんの笑顔、姉ちゃんの笑顔、そして葵の笑顔……みんなの笑顔はオレの大切な宝物だ。

 ……でも照れくさいから母さんたちの前では絶対に言わないけど。

 ……葵の前では……やっぱり面と向かって言うのは照れくさいかも……。


 ……って、そんなことを考えていたら、いつの間にか、みんな朝ごはんを食べ終えていた。

 オレも食べ終えた洗い物の皿をキッチンに運ぶ。



 そしてオレと葵は、一旦、それぞれ自分の部屋に戻り、それから少ししてから映画を観に出かけた。







 映画館に着いたオレと葵。

 席は一番後ろの端。



 そして上映中、館内の照明は暗い。

 オレは映画を観ながら葵の手を握ろうと思った。

 だけどスクリーンに映る映像が明るい。

 オレは葵の手を握ることを諦めた。

 すると…………。


< 190 / 329 >

この作品をシェア

pagetop