僕が愛しているのは義弟(おとうと)



 そういえば歩いていて思ったんだけど、街中を歩いている人たちがいつもよりもカップルが多いような気がする。

 それもそう、今日は十二月二十四日。

 いつもよりもカップルが多くても不思議ではない。

 ……だってオレと葵もその中の一組だから。

 ……だけど周りからはオレと葵は兄弟か友達……にしか見えないんだろうな……。


「隼翔?」


「……葵」


 オレは葵の声にハッと気付いた。


「どうしたの? なんかぼーっとしてる」


「そんなことないよ」


「本当?」


「ああ」


「ならよかった」


 葵はほっとした様子だった。


「そうだ、葵、昼ごはん食べ終わったら次どこに行きたい?」


「…………」


 葵は何も言わない。

 きっと行きたいところを考えている最中なのかなと思った。

 オレは葵がどこに行きたいと言うのか楽しみにしていた。すると……。


「……またオレが行きたいところでいいの?」


 葵からの返答はどこに行きたいかではなく遠慮気味な言葉だった。


「さっきも言っただろ。オレは葵と一緒ならどこでも行きたいって」


「それは聞いたけど……」


 葵はまだ遠慮気味だった。


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