僕が愛しているのは義弟



 四月上旬、満開の桜。

 この日、葵は高校の入学式を迎える。


「おはよう」



 新しい制服に袖を通した葵はオレたちがいるダイニングルームに顔を出した。


「おはよう、葵。そして高校入学おめでとう。おっ、高校の制服、似合ってるよ」


 笑顔の姉ちゃん。


「ありがとう、楓姉ちゃん」


「高校入学おめでとう、葵。制服、似合ってるよ」


 笑顔の義父さん。


「ありがとう、父さん」


「高校入学おめでとう、葵。葵は何を着ても似合うわね」


 笑顔の母さん。


「ありがとう、義母さん」


 そしてオレは……。


「高校入学おめでとう、葵。制服、似合ってる」


「……ありがとう、隼翔兄」


 
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