僕が愛しているのは義弟
「隼翔……お前、なんか顔恐いぞ」
「え……」
オレ、そんなに顔に出ていたのか……?
「弟がモテモテだからって、そうひがむなよ、隼翔。オレが慰めてやるからさ」
「はぁ⁉ 何言ってるんだよ、太一。そんなわけないだろ」
まったく、太一は。
葵の周りに女子たちが囲んでいても、ひがむわけがない。
ひがむのではなく……ヤキモチ……だ。
オレの……オレの葵に……。
「隼翔‼」
「……」
オレは太一に呼ばれて我に返った。
我に返ったけど、太一の声に驚きすぎたからか、一瞬、声が出なかった。
「梓と遼祐はオッケーだって。あとは、お前と葵がオッケーかどうかなんだけど」
「え……ごめん、何の話?」
どうやら太一が何かを話していたらしいのだけど全く耳に入っていなかった。
「だから葵の入学祝いだよ。梓と遼祐はオッケーだから、あとはお前と葵がオッケーかどうかという話だよ」
……あ、そういう話になっていたのか……。
オレ、本当に全然耳に入っていなかったんだな……。
「ありがとう、太一、梓、遼祐。葵もきっと喜ぶよ」
「なら、決定。隼翔、葵に伝えておいてくれよな」
「ああ、わかった」