僕が愛しているのは義弟(おとうと)
……ただ葵には何て言えばいいのか。
……『隠す』……。
オレは思わずこの言葉が頭に浮かんだ。
……でも葵に隠すなんて……。
それじゃあ、まるで遼祐と二人で会うことがやましいことだと思っているみたいじゃないか。
オレは、ものすごく葛藤していた。
葵にちゃんと言わなければという気持ちと、葵にこのまま黙っておきたいという気持ちと。
オレは、どうしたらいいのかと思いながら、結局、葵に遼祐と二人で会うということを言えないまま遼祐と会う日がきた。
オレは葵に「太一と会ってくる」と噓をついて家を出た。
そして遼祐との待ち合わせ場所に行った。
「隼翔」と、遼祐の呼ぶ声が聞こえた。
オレと遼祐は、まず昼ごはんを食べにファーストフード店に行った。
昼ごはんを食べているときに遼祐は「隼翔を連れていきたいところに行くのは、もう少し後で」と言った。
昼食を済ませて、オレと遼祐はボウリング場に行った。
そしてボウリングを終え、遼祐は「そろそろ行こうか、隼翔を連れて行きたいところに」と言った。
遼祐は一体、オレをどこに連れていきたいのだろうと思いながら遼祐が歩く方向へついて行った。