僕が愛しているのは義弟



 ……あれ……?

 この道は……。

 ……えっ……⁉

 ……もしかして……ここが……遼祐がオレのことを連れてきたいと言っていた場所……?


「着いたよ、隼翔」


 ……ここは……うそだろ……。

 だって、ここは…………オレと葵の思い出の場所…………。


「隼翔?」


「……あ……いや……あまりにもきれいな場所で……」


 オレは動揺していた。


「だろ? この辺り歩いていたら偶然見つけたんだ」


 遼祐がこの場所を……。

 だとしたらオレと葵が二人でいるところを遼祐に見られたかもしれない……?

 それだけじゃない、オレと葵が…………キ……ス……していたところも……?


「オレ、この場所を見つけたときに、どうしても隼翔のことを連れてきたかったんだ」


「え……」


 オレはまだ動揺している。

 遼祐は、ほんの少しの間、沈黙していた。そして……。


「オレにとって隼翔は……大切な人だから……」


「……遼祐……?」


「オレ、一生言わないでおこうか、すごく迷った。……でも、それは自分のこの気持ちに蓋をし続けることになるもんな」


 ……遼祐……?


「うん、やっぱりこの気持ちに蓋をすることなんてできない」


「遼……祐……?」


< 294 / 354 >

この作品をシェア

pagetop