僕が愛しているのは義弟
……葵……?
なぜ……⁉ なぜ葵が……?
オレは、あまりのことで声が出なかった。
「葵くん……?」
遼祐も葵に気付いた。
葵は何も言わず、そのままオレと遼祐に背を向けて走り出した。
オレは、つかんでいた遼祐の腕を離して葵のことを追いかけた。
そして葵に追いつき……。
「葵‼」
オレは葵の腕をつかんだ。
葵はオレのつかんだ手を必死に離そうとした。
オレは、より葵の腕を強くつかんだ。
「葵、聞いてくれ‼」
「聞きたくない‼」
「葵‼」
「やだ‼ 離して‼」
「葵‼」
「……なんで……なんで太一くんと会うって噓をついたの⁉ それって遼祐さんと二人で会うことがやましいと思っていたからでしょ?」
「違う‼ 違うんだ、葵」
「何が違うの⁉ もう何も聞きたくない‼ 離して‼」
「葵‼」
……ダメだ……。
このままではオレと葵が離れてしまう……。
一体どうすれば……。
オレは何も思いつかなかった。
思いつかないままオレは自分がどう動いたか無我夢中でその過程を全く覚えていない。
気付いたら……。