僕が愛しているのは義弟
オレは太一の言う方向を見た。
ファーストフード店の店内の窓越しから見えたのは梓と遼祐だった。
「……りょ……遼祐のヤツ……今日、オレたちと会うのを断ったのは、このためだったのか」
太一はかなり動揺していた。
「このためって?」
「だから梓とデートをするためだったってことだろ」
「太一、落ち着け。まだデートだとは決まってないだろ」
「何を言っているんだ、隼翔。男子と女子が二人きりで会うというのはデート以外にないだろ」
太一は完全に梓と遼祐が二人きりで会っていると決めつけていた。
「まだ決めつけるのは早いぞ、太一。梓と遼祐は偶然ばったり会って一緒に目的の方向に向かっているだけかもしれないだろ」
「……もし違ったら?」
「えっ……それを言われると……」
オレはこれ以上、何も言えなくなる。
「あぁぁ~、梓~。……ん? ……って……ちょっと待て……ということは、遼祐も梓のことを好きだということか⁉」
「なんでそうなるんだ」
「だってそうなるだろ」
「そうか?」
「そうだよ」
太一の決めつけは止まらない。