僕が愛しているのは義弟
「それに関しては大丈夫だろ。梓はオレたちのことに気付いてないからな。オレからの着信も偶然と思うだけだ」
太一の暴走は止まらない。
「とにかく梓に電話をかけるのはやめろ」
オレは必死に太一のことをとめた。
「……わかった」
「……太一……」
オレは太一の暴走が治まってほっとしていた。
「じゃあ……」
「……じゃあ……?」
太一……?
「梓と遼祐のあとを追うぞ」
……な……なにぃ⁉
「た……太一……なっ、何を言っているんだ」
「いいから早く出るぞ」
太一はそう言うと、足早に店を出た。
オレも慌てて太一のあとに続いて店を出た。
「おっ……おい、太一、ちょっと待て。やめろって」
オレは太一を止めようとした。
「大丈夫だよ。そっと追えばバレないだろ」
太一は梓と遼祐を追う気満々だ。
「いや、そういう問題じゃなくて……。おい、太一」
太一の強引な尾行にオレは、もうこれ以上、止めることができなかった。
オレは、しぶしぶ太一のあとについて行って、結局、梓と遼祐の尾行をすることになった。
「梓~、あんなに遼祐と楽しそうに話して……。遼祐もなんだよ、あんなに梓と楽しそうに……」