僕が愛しているのは義弟
太一は、梓と遼祐が楽しそうに話していることがとても気にかかるようだ。
「別に楽しそうに話すこともあるだろ。梓と遼祐は友達なんだから」
オレは太一にそう言いながら引き続き、太一が梓と遼祐の尾行をし続けていることに付き合った。
しばらく梓と遼祐の尾行をしていたそのとき、梓と遼祐は、ある方向を見て手を振り出した。
オレは梓と遼祐が手を振っている方向を見た。
そこには梓の友達なのか、二人の女子たちがいた。
そして梓と遼祐は、その二人の女子たちと合流した。
「……太一、だから言っただろ。梓と遼祐は二人きりで会っているとは限らないって」
「……う~ん……」
太一はスッキリしない返事をした。
「これで安心しただろ。もうこれで梓と遼祐の尾行は終わりだ。行くぞ、太一」
オレは、まだ梓と遼祐のことをスッキリしていない太一を強引に言い聞かせるように、その場を立ち去ろうとした。
「……だけどさぁ~、なんで梓はオレと隼翔のことを誘わなかったんだ」
太一は梓に誘われなかったことを相当気にしているようだ。