僕が愛しているのは義弟



 オレは太一を励ました。


「……隼翔」


「うん?」


「カラオケ行くぞ」


 元気がないと思いきや、太一は突然そんなことを言い出した。


「……あ……ああ……いいけど……」


 オレは太一の切り替わりに少し戸惑った。


「これは歌わなやってられないぜ」


 太一は妙にノリノリだった。


「……そうなのか……」


 オレはこの時点で太一のノリについていける気がしなかった。


「もう、これは超ウルトラスーパースペシャルロックな歌を歌う気分だぜ」


「……」


 オレは太一の奇妙なテンションに何も反応できなかった。


「隼翔、何ぼーっとしてるんだよ。早く行くぞ、カラオケボックスに」


「あ……ああ」


 オレは太一の言われるままに、ただ着いていくだけだった。





 そしてカラオケボックスの中でも、そのテンションは続いた。

「隼翔、お前ももっと歌え」と、太一は言ったけど、太一のあまりのテンションにオレはついていくことができずに、ほとんど座っているだけだった。



 そしてカラオケボックスを出た後、太一は「スイーツを食べに行こうぜ」と言ってカフェに行くことになった。


< 311 / 354 >

この作品をシェア

pagetop