僕が愛しているのは義弟



 オレと太一がいるカフェの店の中からオレと太一のことを呼ぶ声がした。

 この声は……。

 オレと太一は顔を上げた。


「梓‼」


 真っ先に太一が声を上げた。


 ちょうど今、梓と遼祐たちもここのカフェに入ってきたのだ。


「偶然ね。隼翔と太一もここのカフェに来ていたなんて」


「本当に偶然だな」


 太一は少し浮かれた様子だった。

 さっきまでの太一はどこへ……という感じだった。


 梓はオレと太一に、梓や遼祐と一緒にいる女子二人のことを紹介した。

 その二人の名前は、葉山侑子さんと城田美香さん。

 葉山さんと城田さんは、一年のときに梓と同じクラスだったらしい。

 そして梓は、葉山さんと城田さんにもオレと太一のことを紹介した。


「そうだ。隼翔と太一に会えたことだし、もしよかったら、ちょうど隼翔と太一の隣の席も空いていることだから席をくっつけて、みんなでお茶しない? どうかな?」


 遼祐は太一の気持ちを察しているからか、太一と梓を話させる機会をつくろうと、みんなにそう声をかけたのかもしれない。


「うん、いいよ。二人は?」


 梓はそう返事して、葉山さんと城田さんにも訊いた。

 二人とも「いいよ」と笑顔で返事をした。


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