僕が愛しているのは義弟
太一は、少しすねた感じで梓にそう訊いた。
「ボウリング場に行っていたの」
「へ~え、ボウリング場」
「みんなでどこに行こうか話し合っていたときに、そういえば前に遼祐くんの転校の歓迎会のときにボウリング場に行ったことを思い出して。ほら、遼祐くん、ボウリング上手だったでしょ。だからボウリングをしに行くのもいいなって思って。それで私と侑子と美香は、遼祐くんにボウリングのアドバイスをもらいながら、みんなでボウリングをしたの」
「……へ~え、アドバイスねぇ~」
太一は口をとがらせて、かなりふてくされてしまった。
「なによ。その表情、その言い方」
梓は太一にそう突っ込んだ。
「そういう太一と隼翔は、どこに行ったのよ」
「オレたちか? オレたちはカラオケボックスに行ったんだよ。梓にも聴かせてやりたかったぜ、オレの超ウルトラスーパースペシャルロックを」
太一は自分の歌に惚れ惚れしたように梓にそう言った。
「はぁ? 何それ」
梓は思わず突っ込まずにはいられない様子だった。
「梓、聞き流していいぞ、こいつの言ってること」
「なんだよ、隼翔、余計なこと言うなよ」
「隼翔の言う通りよ」