僕が愛しているのは義弟
「なんだよ、梓まで。あっ、そうだ。なぁ、梓、今度一緒にカラオケ行かないか。そうしたら聴かせてやるよ。オレの超ウルトラスーパースペシャルロックを」
「そうね、カラオケには今度行きましょ、みんなで。でも、太一のその超ウルトラなんとかロックは別にいいから」
梓は、きっぱりと太一に言った。
「あ……梓~、なんだよそれ」
太一は少ししょげてしまった。
「……それに……みんなでって……」
太一は小声でぼそぼそと言った。
「えっ? 『なんだよそれ』の後がよく聞こえなかった」
「……何でもない」
太一は、すっかり元気をなくしてしまった。
「なによ、太一、どうしたの?」
梓は少し困った様子で太一にそう訊いた。
「いや、オレのことは気にしないでくれ」
太一は心のシャッターを閉めたかのようになってしまった。
「隼翔、太一に一体何がおきてしまったの?」
梓は、お手上げ状態の様子だった。
「そんなに気にすることはないよ。すぐもとに戻るから」
「……それならいいけど……」