僕が愛しているのは義弟



 オレは梓と太一が話している間、一度チラッと葉山さんや城田さんと話している遼祐の方を見た。

 遼祐とはあの日、遼祐に想いを告げられてから、ほとんど話す機会がなく、すれ違ったときに挨拶程度で声をかけるくらいだ。

 確かにクラスが違ってからは、もともと話す機会は少なくなっていたけど、あの日以来、特に減った気がする。

 遼祐は、あの日からも接する機会があったときは、今までと同じようにオレと接してくれる。

 あの日の前も後も遼祐は変わらない。

 きっと変わらないようにしてくれているのだろう。


「隼翔?」


 ……‼


「……梓」


 オレは梓の声に気付いて梓の方を見た。


「どうしたの? ぼーっとして」


「……あ……いや、何でもない」



 そしてしばらくみんなで話をしてからカフェを出た。


 カフェを出て少しの間、みんなで歩いた。

 みんなで歩いていたらいつの間にか公園の広場に着いた。

 公園の広場に着いたオレたちは、そこでみんな解散することになった。


「隼翔と遼祐は途中まで同じ方向だよな」


 太一はオレと遼祐にそう言った。


「ああ。でもオレ、ちょっと用があるから、こっちに」


 ……え……?

 遼祐……?


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