僕が愛しているのは義弟



「あ……いや……そういうわけじゃないんだけど……」


「大丈夫。葵にはちゃんと正直に言うから。太一と二人でカフェにいたときに偶然、遼祐たちと会って、それから帰るまで遼祐たちと一緒だったって。公園の広場でみんなそれぞれ解散した後、遼祐とは二人で少しだけ話をしたって」


「そうか、それならよかった」


 遼祐は、ほっとした様子だった。


「ごめん、遼祐。オレたちのことで遼祐にものすごく気を遣わせてしまった。……それに……辛い思いをさせてしまった……」


「そんなことないよ。隼翔は何も悪くない。オレの方こそ、いろいろ悪かった」


「やめてくれよ、遼祐、謝るなんて。オレは遼祐に謝ることなんてしてほしくない」


「隼翔……」


 遼祐は何も悪くない。


「じゃあ、お互い謝り合うのはやめにしよう」


 遼祐のその言葉でオレの気持ちは救われた。


「遼祐……」


 本当にありがとう、遼祐。


「そうだな、遼祐の言う通り、お互い謝り合うのはやめにしよう」


 オレも遼祐にそう言った。


「遼祐」


「うん?」


「本当にありがとう」


 オレは遼祐に『ありがとう』を言わずにはいられなかった。


「隼翔……」


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