僕が愛しているのは義弟(おとうと)



「……ってことは、オレたちを見かけたのは、お前だけじゃないってことか?」


「いや、他のメンバーは気付いてなかった。気付いたのはオレだけだ」


 ……そうか。少し安心……したかな。


「あれはダブルデートじゃないよ。それに葵と女の子は、偶然ばったり会って。ちなみに葵と一緒にいた女の子は葵と同じクラスの子で、その日は偶然、葵とばったり会ったそうだ」


 オレはダブルデートじゃないことを強調したくて必死に太一に説明したつもりが……。


「……ということは、それまでお前と梓は二人で会っていたということじゃないか‼」


 ……しまった。ダブルデートじゃないことを強調したばかりに……。

 って、別に知られてもいいけど。

 ……ただ、梓のことになると太一は……。


「だから、それには理由があるんだ。理久の誕生日がもうすぐで、そのプレゼントを何にしたらいいかわからないから一緒に選んでほしいと言われて、その買い物に付き合っただけだよ」


 オレは太一に必死に説明をした。

 なぜ必死に説明しているのか、よくわからなくなるけど、とにかく必死に説明をした。


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