僕が愛しているのは義弟(おとうと)
「理久の? 誕生日プレゼントを? 何でオレに言ってこないんだ、梓は」
太一は、自分が梓から頼まれなかったことに納得がいかない様子だった。
「知らないよ、そんなこと」
「何かあると、梓はいつもお前に言う。どうしてだ、梓―」
………………。
「そんなに梓と二人で会いたいのなら、お前から誘ってみればいいじゃないか」
オレは、太一が梓と二人で会うことができるといいと思い、太一の方から梓のことを誘うようにと勧めてみた。
「……そんなこと、できるわけないじゃないか」
太一は、かなり消極的になっていた。
「何でだよ」
「もし梓のことを誘って断られでもしたら、オレ……」
太一は弱気になっていた。
「そんなの誘ってみなければわからないだろ」
オレは、もう一度、太一に勧めてみた。
「それで断られたらどうするんだよ」
太一は、悪い方へ悪い方へと考えていってしまった。
「そんな、断られることばかり考えなくてもいいじゃないか。梓がオッケーしたら、太一、お前は梓と二人で出かけることができるんだぞ」
オレは、できるだけ太一を励まそうとしたけど……。
「……だってよぉ」
「……太一……」