僕が愛しているのは義弟(おとうと)
太一はすっかり自信を無くしていた。
オレはこれ以上、何も言うことができなかった。
そして、その日の夜。
オレは自分の部屋にいた。
そのときスマホが鳴った。メールだ。
オレはスマホの画面を見た。
「梓……」
【一昨日は理久の誕生日プレゼントを買いに行くのを付き合ってくれて、ありがと
う。理久にプレゼントを渡したら喜んでくれたよ。隼翔が一緒に選んでくれたおかげだよ。本当にありがとう】
そういえば今日だったな、理久の誕生日。
【理久が喜んでくれて、オレも嬉しいよ】
オレは、そう返事を返した。
【うん、本当にありがとう。じゃあ、また明日学校で】
【また明日学校でな】
梓にメールを送った後、オレは、ふと思った。
今また梓にメールを送ろうかと。
そして『太一のことを誘ってやってくれ』と伝えようかと。
……って、いや、いや、いや。やっぱりメールでそれを伝えるのはダメだよな。
……というか、そもそも余計なお世話だな。
夕飯の時間になり、オレは部屋を出た。
すると、ちょうど葵も自分の部屋を出るところだった。
「葵、ちょうど一緒のタイミングだな」
「そうだね、隼翔兄」