僕が愛しているのは義弟(おとうと)
「あっ、そうだ、さっき梓からメールがあって、理久が誕生日プレゼントを喜んでくれたって」
オレは梓とのメールのことを葵に話した。
「そう、それは良かった」
葵は笑顔になった。
「……葵」
「うん?」
「……あ、いや、やっぱ何でもない」
……相談できるわけがない。
どうしたら太一が梓のことを誘えるかということなんて。
「……どうしたの? 隼翔兄」
「いや、別に」
「隼翔兄?」
葵が心配そうにオレの顔を覗き込んだ。
「大丈夫。だから、心配しなくていいよ」
「……本当に大丈夫?」
「ああ、ありがとう。葵」
葵は優しいな。オレのことを心配してくれて。
……まさか『どうしたら太一が梓のことを誘うことができるか』という相談を一瞬でも葵にしようとしたなんて、やっぱりそんなこと言えないよな。
葵には、このまま黙っていよう。オレは、そう思った。
それから何日か経ったある日の放課後。
「隼翔‼」
太一がオレの肩に軽やかな感じでポンっと手を当てた。
やけにテンションが高い。
これは何かあるなと思った。
「太一、どうした?」