僕が愛しているのは義弟
……そうか……母さんと父さんが離婚した後、母さんが義父さんと再婚するまでの間、母さんと父さんは二か月に一度会っていたんだ……。
「お前の母さんと会わなくなってから二年か三年後に偶然、お前とお前の母さんが一緒に歩いているところを見かけた。大きくなったお前を直接見るのは、このときが初めてだった」
母さんは、父さんと離婚した理由は決して仲が悪くなったからではないと言っていた。
だけどそれは十歳だった姉ちゃんと七歳だったオレに本当のことを言えなかっただけかもしれない。
オレと姉ちゃんが、まだ小学生だったから、大人の事情を言えなかっただけかもしれない。
本当のことは母さんと父さんしか知らないのかもしれない…………。
「……隼翔……このあと……ちょっと時間……あるか? ……少しだけ……話を……しないか?」
父さん……。
「……うん」
十年ぶりの父さんとの会話。
高校二年生になったオレに父さんはどんな会話をするのだろう……。
「……隼翔……十年ぶりに再会して……いきなりこんな……話を……するのは……あれ……なんだけど…………」
……父さん、一体どんな話を……。