僕が愛しているのは義弟
父さんは、今、元恋人だった人と恋人に戻って一緒に暮らしているそうだ。
父さんはオレに一枚の写真を見せてくれた。
母さんと父さんと姉ちゃんとオレの四人で写っている写真。
父さんは、それを大切に持ち歩いていると言った。
その写真は父さんにとって大切な宝物だと。
父さんは母さんに救われて今の父さんがあるんだ。
オレも母さんにはどれだけ救われてきたことか。
父さんだけではない。オレも母さんにはとても感謝している。
姉ちゃんだってそうだ。みんな母さんに感謝している。
オレは今まで以上に母さんの心の広さ、そして存在の大きさを感じた。
そして今まで以上に感謝をした。
照れくさいから、なかなか口には出せないけど。
オレは母さんに感謝をしながら家へ向かった。
母さんに感謝をしながら歩いていたら、いつの間にか家に着いた。
「ただいま」
「おかえり」
いつもの母さんの声。
オレは母さんに父さんとばったり会ったことを話そうと思った。むしろ話した方がいいと思った。
「……母さん」
「なあに?」
いつもの母さんのやさしい声。
「……さっき……父さんと……ばったり……会ったんだ……」