僕が愛しているのは義弟
「楽しみだな~。なぁ、隼翔」
「なんでオレもなんだよ」
「なんでだよ~。お前、冷たいなぁ~」
「だってお前と梓の問題だろ」
「もぉ~、隼翔~」
太一は甘えたようにオレの両肩に手をのせて前後に揺すってくる。
「おい、太一、やめろよ」
オレは太一から離れようとする。
「隼翔~」
太一は次にオレの袖を引っ張って左右に揺すってきた。
「おい、太一、袖が伸びるだろ」
オレは太一から袖を放そうとした。
「隼翔~」
太一は、しつこかった。
オレは太一のそのしつこさをなんとかやめさせようとしたけど……。
「あぁ~、そうだな。いろいろ楽しみだな」
オレは太一の勢いに負けて太一に合わせることにした。
「そうだろ、やっぱりお前も楽しみだろ」
……太一、お前に合わせたんだよ。
……でも、なんだかんだ言っても、太一のそういうところも含めて憎めない。
あと、やっぱり太一と一緒にいると楽しい。
だから太一が甘えてくると嫌な気持ちになれない自分がいる。
「まぁ、夏休みとは言っても部活があるから頻繫に学校には行くことになるけどな」
太一は、いきなり真面目っぽい言い方になった。
「そうだな」