僕が愛しているのは義弟



 確かに。

 部活があると結局、学校に行くことになる。

 だから夏休みとは言っても授業がないだけで学校に行くということは変わらない。

 だから、あまり夏休みという実感はないかもしれない。



「そうだ隼翔、ちょっと寄り道しないか」


 太一はそう言って帰り道とは違う道へ歩こうとした。


「お前、テストの日は早く帰ることができるからって寄り道はまずいだろ」


 オレは太一が歩こうとした道ではなく、いつもの帰り道をそのまま歩き続けた。

 オレがいつもの帰り道をそのまま歩き続けたから、太一も違う道へ歩いていくのは諦めたようだった。


「なんだよ、隼翔は真面目だな。お前、前からそんな感じだったっけ?」


 太一は、ちょっとつまらなさそうにそう言った。


「……いや、別に真面目とかじゃないよ。それに今日は、ちょっと……。だからさ、テストが終わったら、また行こうな」


 オレは太一にそう言った。


「おう、わかった。じゃあ、また明日な」


「ああ、また明日な」





 オレは太一と別れた後、ひたすら歩いていた。


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