僕が愛しているのは義弟



「ああ、覚えてるよ。明日、お前とショッピングモールに行くことだろ」


 葵とショッピングモールに行くことは一週間くらい前からの約束だった。


「うん。明日、楽しみだね、隼翔兄」


 葵は、とても笑顔だ。明日、楽しみにしていることがとても伝わった。


「そうだな」


 オレも楽しみにしているという気持ちを込めて言ったつもりなのに……。


「本当に楽しみにしてる?」


 葵はオレの返事の仕方がもの足りなく感じたのか、オレの顔を覗き込んでそう訊いた。


「楽しみにしてるよ」


 オレの中では楽しみにしているということをちゃんと伝えているつもりなんだけど……。


「なんか素っ気ない」


 葵は少ししょんぼりした様子になってしまった。


「そうか?」


 そんなに素っ気なかったかな? 自分ではそんな感じには思わなかったけど……。


「そうだよ。楽しみにしてるんだったら、もっと嬉しそうにしてよ」


 葵はオレの顔を真っ直ぐに見つめた。


「……そんなこと言われても……」


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