僕が愛しているのは義弟



 ……そうか、そういうことになるのか……。

 充希ちゃんは葵の妹…………。

 充希ちゃんは、数か月、葵と一緒にいたとはいえ、そのときは赤ちゃんだったから当然、葵のことは覚えていない。

 葵のことを覚えていないということは……葵が兄ということも…………。


「……もう一人は優真。智喜さん……あなたのお父さんと別れて……再婚してから生んだの。今年で小学二年生」


 ……小学二年生……。

 オレが初めて会ったときの葵の年齢と同じくらいか……。

 優真くんも葵の母さんによく似ている。

 オレが初めて会ったときの葵とそっくりだ。

 優真くんの声、さっき一瞬だけ聞こえてきたけど、聞こえた限りではあのときの葵のように透き通るようにきれいだ。

 オレは初めて葵と会ったあの日のことを思い出していた。


「……こんなこと……本当は……わざわざあなたに……言うことではない……かもしれないけど…………実は……充希は……あなたとは……お父さんが…………違うの…………」


 え……⁉ 葵とは父親が違う……⁉

 オレは慌てて葵の方を見た。

 葵は少しも顔色を変えずに聞いていた。

 ……それとも驚きすぎて、リアクションがとれなくなっているのか……?


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