僕が愛しているのは義弟
「……ただ、あなたのお父さんは、とてもあなたのことを大切に思っているということも言いたいのもあって…………本当はあなたのお父さんと離婚をすることが決まったとき、私は充希と一緒にあなたのことも連れていくつもりだったの。……でも、あなたのお父さんに『葵と一緒に暮らすことを許してほしい』と、お願いされて。……でも、私にはそれを拒否する資格なんてない。……だから、あなたのことを連れていくのは諦めたの…………謝って済む問題じゃないのはわかっているけど……謝ることしかできなくて……ごめんなさい…………本当にごめんなさい……葵……」
……そうか……。葵の母さんも辛かったんだな……。
「……別に、謝らなくていいよ。オレは母さんのこと全く怒ってないよ」
「……葵……ありがとう……」
葵の母さんは涙をこぼしながら少しだけ微笑んだ。
「……あっ、そういえば、あれ持っていてくれたんだね、ビー玉。母さんと父さんが離婚するときに、オレが母さんに、母さんとまだ赤ちゃんだった充希にって渡した、あのビー玉」
そうか、さっき充希ちゃんが落としたあのビー玉は葵が渡したものだったんだな……。