僕が愛しているのは義弟



「もちろん、大切に持っているわよ」


 そして葵の母さんはバッグのポケットから葵からもらったビー玉を出して葵に見せた。

 それは、とてもきれいなビー玉。まるで青く透き通った海のように…………。


「母さんの一生の宝物よ」


「母さん……」


 葵は少し照れくさそうだった。

 ……そして葵の目には……光るものが見えた…………。



「お母さーん」


 遠くから呼ぶ充希ちゃんの声。

 葵は充希ちゃんの方を見た。


「……ほら、充希が呼んでる」


「……葵……私たちまた…………」


 葵の母さんは本当はこれからも葵に会いたいんだ。

 葵と離れるのが辛くて辛くてたまらないんだ。

 本当は葵とも一緒に暮らせることができればと、今でも思い続けているんだ…………。


「……何でもない。……葵……体に気をつけて……」


「……うん、母さんも……」


「……ありがとう……葵……」


 ……苦しい……。

 この二人の……どうにもならない……この……思いが…………。

 オレは苦しくて苦しくてたまらなかった……。


 ……でも、あの二人の方がもっと苦しいはずだから…………。


「……じゃあ…………そろそろ行くね……」


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