Ti Amo
「結愛っ!
やめなさい…何てことを言うの」
母親が珍しく怒った口調だ。
「…別に、思ったことを言っただけよ」
「失礼じゃないか。
お前は礼儀を忘れたのか?」
こんな時だけ父親面をしないで。
「まあまあ…
おじさん、おばさんも
落ち着いてください。
そして結愛ちゃんを
責めないでください、」
「しかし智くん…」
「結愛が失礼なことを、
ごめんなさいね。」
「いいえ。失礼なことだなんて
思ってませんよ、
相変わらず真っ直ぐで正直だ。
…あの、一度結愛ちゃんと
二人にしてもらえませんか?
ゆっくり話したいので…」
「ああ、これは失礼。
奈緒子…席を外すぞ」
「はい。智くん、ごゆっくり」
少し心配そうにしながら、
二人は病室を後にした。
あたしが智くんに、
また失礼なことを言わないかが心配なのだろう…。