ダンデライオン 〜美奈子

「俺、上手く言えなくて。失礼なこと言ってすみません。でも、研修で会った時から、俺、美奈子先生のこと、気になっていて。」

和哉は ゆっくりと車を走らせながら言った。


「いきなり言わないで。私、まだ心の準備ができてないのに。」


美奈子の胸は、恥ずかしい程 ドキドキしていた。
 


「あっ。すみません。俺、本当、ムードなくて。」


和哉は 前を向いたまま、自分の頭を小突いた。


「ううん。でも、嬉しいです。」

美奈子も 正直に言ってしまう。

本当に嬉しかったから。

一瞬、美奈子の方を見た和哉は ぎこちない笑顔になる。


美奈子は 柔らかく微笑んで 和哉に頷いた。
 
 



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