ダンデライオン 〜美奈子
「初めまして。よろしくね。」
美奈子は 笑顔で生徒に言う。
「コジコジ。ヤッタじゃん。」
一人の生徒が 和哉を小突く。
「コラッ。コジコジって言うな。」
和哉は 照れた顔で その生徒の頭を抱え込む。
「あっ、これ。スポーツドリンク。みんなで飲んで。」
美奈子は 持ってきたペットボトルを差し出す。
「ありがとうございます。」
と大きな声で礼を言われ、クスクス笑ってしまう。
「コジコジ。美人だからフラれるなよ。」
「フラれたら、お前達のせいだからな。」
「なんだよ。俺達、何もしてないよ。」
そんな会話を、美奈子は 笑顔で聞いていた。
「先生。いつ結婚するの。」
「教えないよ。」
「結婚式、呼んでよ。」
「ヤダよ。下品になるから。」
生徒達との会話で 美奈子は、和哉と生徒が 良い関係を築いていることを知る。
「早く、弁当食べなさい。次の試合、動けなくなるよ。」
和哉が 先生らしく言うと、生徒達は 素直に荷物を開く。
「次の試合も頑張ってね。」
美奈子が言って帰ろうとすると
「えー。見ないんですか。」
体格の良い生徒が言う。
美奈子は 困って和哉の顔を見る。
「あと一時間後くらいだから。」
と言って和哉は 頷いてくれた。
「じゃあ、見せてもらうね。応援するから頑張ってよ。」
美奈子が言うと、生徒達は声を揃えて
『ありがとうございます。』と答えた。