ダンデライオン 〜美奈子

美奈子と教会を見学して、結婚式について 詳しい話しを聞いた夜、


「ねえ、パパ。結婚式なんだけど。私、お父様と バージンロードを歩いてもいいかな。」

美奈子は 父に切り出した。

「ああ、それはいいね。きっとお父様、喜ぶよ。」

父は笑顔で頷いた。

美奈子は 得意気な顔で 和哉を見る。
 


「お父さん、いいんですか。」

和哉が聞くと
 
「俺は 麻有子の時に歩いたから。ああいうのは 一回で十分だよ。」

と父は 照れた顔で言った。
 


「でもお父様、遠慮するんじゃない。」

母の言葉に、美奈子は頷く。
 
「私もそう思う。だから私、お父様を説得しないと。」

美奈子は 笑顔で言う。
 


「俺より、和哉君いいの?」

父は 和哉の気持ちを確認する。
 
「もちろん。一生に一回のことだから。美奈子の思うようにしたいんです。」

和哉も笑顔で頷く。
 

「あーあ。完璧に 美奈子の尻に 敷かれているよ。」

と父は 呆れた顔で言う。
 

「それが嬉しいんです。」

和哉の言葉に
 
「ヤバいね、ママ。美奈子の天下だよ。」

と父は続けた。
 


ずっと 美奈子の天下でいい。



美奈子らしく 自由に、思うように 生活させてあげたい。


生き生きとしている美奈子を見ることが、和哉は 幸せだから。



そんな風に思いながら 美奈子を見ると、



美奈子は 嬉しそうに 微笑み返してくれた。
 

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