未明の三日月
中学時代、成績が良いだけで 特別視されていた美咲。
都会の生活に慣れるほど、美咲は 生き生きと 解放されていった。
香奈は 美咲のアパートに よく遊びに来た。
「一人暮らしって いいなあ。」
と狭いアパートで寛ぐ香奈。
香奈の家に行ったとき、美咲はとても驚いた。
一戸建てだけれど とても小さい家。
一階はリビング。
二階に両親の寝室と、子供部屋。
でも東京では それが普通だった。
「香奈は 家を出ないの?」美咲が聞くと、
「お姉ちゃんが 卒業して家を出れば、部屋を占領できるから。あと一年の辛抱だよ。」
と香奈は答えた。
生活の不自由さを 負い目にしない 香奈を 美咲は強いと思った。