未明の三日月
4年間暮らした街は 離れ難く、美咲は 住んでいたアパートの近くで 部屋を探した。
これからは 電車通勤になることを考えて、駅近くで 少し広めのアパートを決めた美咲。
3月中に引越しを終え 家具や家電製品を揃えて 美咲の新しい城は整った。
社会人になることは 不安だった。
でも 高校を卒業して 上京した時の不安とは 比較にならない。
東京の包容力に 美咲は感謝していた。
もしあのまま実家にいたら、きっと今の美咲には なれなかった。
いつまでも、素直な心で 人と向き合えなかったと思う。