未明の三日月
新潟の実家は、庭も広いし 家も大きい。
でもそれは 美咲の家だけではない。
隣近所もみな 同じように広い家だから、
それが普通だと思っていた。
アパートを決めた後、母と二人で食事をする。
「しかし 狭い部屋だったね。ちゃんと整理しないと 物に埋まっちゃうよ。」
と母は笑う。
「うん。あんまり荷物、持ってこられないね。」
美咲も頷く。
これから あの狭い部屋で、どうやって生活すればいいのだろう。
美咲が憧れた一人暮らし。
でも理想と現実はかけ離れていた。