未明の三日月
「美咲、俺が ずっと美咲を見ていたこと、知らなかったでしょう。」
美咲を抱いた後で、佳宏は言う。
美咲は驚いて佳宏を見つめる。
「うそでしょう。」と聞くと、
「美咲、可愛かったし。いつも明るくて、仕事もよく頑張っていたよね。」
佳宏は 美咲の髪を撫でながら言う。
「なんで、もっと早く 言ってくれなかったの?」
美咲は 甘く佳宏を責める。
「仕事も 一人前にできないうちは、何も言えないよ。」
佳宏は 優しい瞳で 美咲を見た。
「私、他の人と 結婚していたかもしれないでしょう。」
美咲は、達也や聡を思い出して、佳宏に言った。
「大丈夫。その時は 結婚式 阻止してでも 美咲を取り戻したから。」
佳宏の言葉に、美咲は胸が熱くなる。
「それに美咲、まだ 心の準備が できてなかったから。」
続けた佳宏の言葉で、美咲は 号泣してしまう。