未明の三日月
中学2年の時、美咲は バスケット部の 横山聡を好きになった。
背が高くて 明るくて、いつも聡のまわりは 賑やかな笑い声が響いていた。
密かに 憧れていた美咲は、ある日 聡が仲間と話しているのを 聞いてしまう。
試験の後、廊下に張り出された 順位表の前で、
「本城美咲って スゲーな。メシ食っている時も 勉強しているのかな。」
と笑いながら言う聡。
近くに 美咲がいることに 気付かない。
そっと教室に戻る美咲。
ただ 勉強ができるというだけで 恋もできない。
みんなと同じように 普通に過ごしたいのに、まわりが 美咲を特別な目で見る。
理不尽で、不自由を感じ続けた 中学時代だった。