未明の三日月
二人で暮らすようになってから、佳宏は 少しずつ変わっていた。
美咲のアドバイスで選ぶスーツ。
少し変えた髪型は 佳宏によく似合い、佳宏を 垢抜けた爽やかな印象にしていた。
それに佳宏は、笑顔にも 自信が滲んで できる男の雰囲気を 身に付けていた。
美咲を振り向かせたことが 佳宏の 大きな自信になっていたから。
「何か心配だな。私、3課に異動になったから。佳宏のこと 見張れないし。最近 佳宏 カッコよくなったって みんな言っているんだよ。」
美咲が 頬を膨らませると、
「誰も言ってないよ。美咲こそ、あんなに可愛かったかなって 言われているんだよ。こっちこそ、心配だよ。」
と佳宏も言い返した。
そして二人で プッと吹き出す。