未明の三日月
県内一の進学高校に 合格した美咲は、やっと 楽に呼吸ができた。
みんなが 同じように 勉強ができたから。
優秀な生徒や、もっと上を目指す生徒を見て、
美咲は 今まで自分が 狭い世界にいたことを 痛感する。
世界が広がったことで 心が解放された美咲は、東京の大学を目指した。
もっと広い世界を見たい。
もっとたくさんの人を見たい。
それが美咲の、勉強への原動力だった。
高校時代の努力が実って、東京の 国立女子大に合格した美咲。
中学の同級生の間で、話題になっていた。
美咲は勝ち誇った気分だった。
狭い地方で 窮屈な生活を続ける友達を、やっと 見返せたと美咲は思った。