からふる。~第17話~
午後8時を回り、テーブルからすっかり料理がなくなった頃。
飽きて自室に戻ってしまった人もいて、残ったのは私と白鳥先輩、緑川先輩、紫雄くん、私の目の前で眠っている黒羽くんの4人。
ちなみに青波先輩は岡本さんを送りに最寄り駅まで行っている。
そんな状況の中、地元長野の地酒を呑み、ほろ酔いになった沼口さんが話し出した。
「あたしはねえ、あんた達に会えて幸せだよ。やっぱりお父さんの夢を叶えてあげて良かった」
「お父さんとは...」
「あたしの死に別れた旦那だよ。もう15年も前になる。心筋梗塞でぽっくり逝っちまってねえ。そっからあたしは1人になった」
そこからこの寮の創設にまつわる話が始まった。
「旦那はね元高校の体育教師でねえ、体には人一倍気を使って生活してた。運動も食事の管理も完璧にするし、仕事も真面目にこなすし、記念日にはプレゼントを忘れないカッコいい旦那だった。
あたしもね、こう見えて頭は賢くて一応大学行って教育学部だったんだよ。そこで旦那と出会って恋をして結婚して...。
子供はできなくて残念だったけど、そんなあたしにあの人は夢を残してくれた。それがこの寮。教師を辞めたら大学駅伝の顧問になって寮生活をしたいって言ってたんだよ。
あたしは駅伝なんて分かんないからとりあえず寮を作ってやろうと探した結果見つけたのが、凰倫館学園だったんだよ。学校からお願いされたのは男子寮。旦那も男の子がほしいって言ってたから丁度良かった。
あたしは寮母になってバイトさんと2人で頑張ってたんだけど、あまりの激務に半年で辞めちゃってね。そこからは長続きしない人ばかりでここ5年はずっと1人で年頃の男子の世話をしてきたってわけさ。
はて、こうやって感謝してもらえるのはいつぶりかねえ?右も左も分からない状態からスタートして長い時間孤独の奔走して、正しいかどうか分からないことを説いて試行錯誤しながらやってきて...。だけどこうして感謝してもらえてるんだから、本当に今幸せなんだよ、あたし」
飽きて自室に戻ってしまった人もいて、残ったのは私と白鳥先輩、緑川先輩、紫雄くん、私の目の前で眠っている黒羽くんの4人。
ちなみに青波先輩は岡本さんを送りに最寄り駅まで行っている。
そんな状況の中、地元長野の地酒を呑み、ほろ酔いになった沼口さんが話し出した。
「あたしはねえ、あんた達に会えて幸せだよ。やっぱりお父さんの夢を叶えてあげて良かった」
「お父さんとは...」
「あたしの死に別れた旦那だよ。もう15年も前になる。心筋梗塞でぽっくり逝っちまってねえ。そっからあたしは1人になった」
そこからこの寮の創設にまつわる話が始まった。
「旦那はね元高校の体育教師でねえ、体には人一倍気を使って生活してた。運動も食事の管理も完璧にするし、仕事も真面目にこなすし、記念日にはプレゼントを忘れないカッコいい旦那だった。
あたしもね、こう見えて頭は賢くて一応大学行って教育学部だったんだよ。そこで旦那と出会って恋をして結婚して...。
子供はできなくて残念だったけど、そんなあたしにあの人は夢を残してくれた。それがこの寮。教師を辞めたら大学駅伝の顧問になって寮生活をしたいって言ってたんだよ。
あたしは駅伝なんて分かんないからとりあえず寮を作ってやろうと探した結果見つけたのが、凰倫館学園だったんだよ。学校からお願いされたのは男子寮。旦那も男の子がほしいって言ってたから丁度良かった。
あたしは寮母になってバイトさんと2人で頑張ってたんだけど、あまりの激務に半年で辞めちゃってね。そこからは長続きしない人ばかりでここ5年はずっと1人で年頃の男子の世話をしてきたってわけさ。
はて、こうやって感謝してもらえるのはいつぶりかねえ?右も左も分からない状態からスタートして長い時間孤独の奔走して、正しいかどうか分からないことを説いて試行錯誤しながらやってきて...。だけどこうして感謝してもらえてるんだから、本当に今幸せなんだよ、あたし」