からふる。~第17話~
沼口さんが何杯目かのお酒に手を伸ばした。


ぐいっと一気に呑み、ふぁ~っと豪快な声を上げる。



「沼口さんの想い、私もちゃんと心に留めて、これからも沼口さんの元で働き続けます。貴重なお話をしていただき、ありがとうございました」


「ときちゃん、ありがとねえ。一生あたしの元なんて言わないで、高みを目指しなよぉ~。ときちゃんはあたしより可愛いし、素直だし、何しろ若くてのびしろがあるんだからねえ」


「いえ、そんなことないです。沼口さんに色々教えられて私はここまで成長できたんですから。のびしろは沼口さんにもたらされたようなものです」


「あらやだ~。そうなのぉ?」



と言って、沼口さんはまた一口お酒を呑んだ。



「私も沼口さんのお話を伺えて良かったです。今後の人生の糧にします。そしてこれからもよろしくお願いします」



緑川先輩が元生徒会長らしく総括した。



「よしっ。沼口さんの貴重なお話も終わったところでお開きにしよう。緑川、一緒に沼口さんを運んでくれる?」


「もちろんです」


「白鳥もジャスティスもありがとねえ」



緑川先輩、熟女好きだからいつもより率先してる感あるな。


そうじゃなくてもおそらく沼口さんのことはお母さんみたいな存在だから大切にしたいはずだ。



「じゃあおれとさーやちゃんは片付けを始めようか」


「そうだね」



ということで私は大量の皿洗いに励むのでした...。


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