浅葱の花にとまる蝶

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「はぁぁぁ全く、あんなに怒らなくてもいいじゃんねえ?」

「いや、遅刻に関してはあんたが悪い。そしてご飯粒ついてるから。」

只今の時刻、昼12時。

お弁当タイムである。

因みに、今日は寝坊してお弁当無しのところを親友の梨香がおにぎりを分けてくれた。

(いつもはちゃんと作ってるもんね!!)

梨香は165cmと背が高く、きりっとした顔立ちをしていて可愛いというよりは美しいといえる。

「蝶ってこんなに可愛いのになーんでちょこっとずつ残念なのかしらね?ま、そこが可愛いんだけど!」

梨香の言う通り蝶の容姿はとても整っている。

サラサラで癖のないグレージュの髪はポニーテールで高くまとめてあって清潔感がある。

こぼれ落ちそうなほど大きな目はぱっちり二重で少し茶色い。

長いまつ毛はくるんとカールしてビューラー要らず。

小さく高い鼻に同じく小さく潤った唇。

まるで熟れたチェリーのようなそれは男の妄想を掻き立てる。

本人曰く大した手入れもしていない肌は陶磁器のごとき白さと美しさを持っている。

すっぴんでこのレベルなのだから化粧をするととんでもなく美しくなるだろう。

だろう、というのは蝶は生まれてこの方自分で自分に化粧をした事がないので分からないのだ。

他人に施す事は上手にできるが、それが自分となるとどうにも上手くいかないから不思議だ。

そんなこんなで蝶はとても美しい容姿をしている。

気付かぬは本人ばかり。
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