愛溺〜番外編集〜
「いいな、3年の川上さんと知り合いとか」
「先輩なんだろ?連絡先は待ってるのか?」
けれど靴を履き替えている際、聞こえてきた男子たちの話には思わず呆れてしまった。
寛太経由で私の連絡先を知ろうだなんて、何というやり口だ。
まあ寛太は私の連絡先を知らないため、聞いても意味ないというのに。
質問攻めに合う寛太に内心謝罪しつつ、私は教室へと向かった。
ここ最近、どうも新入生からの注目が集まってしまう。
原因はただ一つ。
涼介と付き合っているからだ。
“学校一の美男美女カップル”とされているため、このように新入生からの注目を浴びてしまっているようだ。
昼休みには私たちの教室にも現れる新入生たちもいるのだから恐ろしい。
女子たちは涼介を見てキャーキャー騒いでいるし、芸能人かって突っ込みたいレベルだ。
「川上さんだ…」
「すげぇ、綺麗だな」
向こうはコソコソ話しているつもりかもしれないけれど、丸聞こえである。
本当に居心地が悪い。
そのため、足早に教室へと向かう。
まあ、そのうち飽きることだろう。
その日まで待てばいいのだ。
「愛佳!またあのイケメンくんと登校したの!?」
「えっ…」
教室に行けば安心できる…わけでもなく。
なぜか沙彩に責められていた。