愛溺〜番外編集〜
「愛佳の嫌がることは絶対にしないよ」
はっきりとそう言い切った涼介を信じて、彼のそばに寄る。
ピタリと寄り添えば、満足そうに笑った。
「ん、良い子」
涼介に肩を抱き寄せられ、頭を撫でられる。
子供扱いされている気がするけれど、嫌な気はしないため大人しく受け入れた。
涼介との時間が極端に減った今、一緒に過ごせる時間が貴重なものに変わっていた。
だからこの時間も無駄にはしたくない。
「最近はどう?
お母さんと、上手く過ごせてる?」
「うん、過ごせてるよ。
最初より会話も増えてるかな」
「…そっか」
正直不安もあったけれど、上手く過ごせているのなら良かった。
この選択を取ったことに悔いはない。
涼介も過去のトラウマは薄れてきているようだし、このまま良い親子関係を築けることを願いたい。
「でも、やっぱり愛佳がいないと寂しいな」
「…っ」
涼介が私の制服のリボンを解いてきた。
“甘いこと”が始まる合図で。
前触れのキスすらなく、あまりにも突然で戸惑ってしまう。
「ま、待って…」
「待たないよ。たくさんかわいがってあげるからね」
「な、何か今日早い!」
「早いって?」
「……ひゃっ」
涼介が私の耳を弄ぶ。
甘噛みしたり、舌を這ったり。
焦る私のスイッチを入れようとしてくるのだ。
「鳴かないの?」
求める声に首を横に振る。
恥ずかしい、胸の高鳴りが止まなくておかしくなりそう。
「……やだ」
だんだんと思考が鈍くなる。
徐々に涼介に侵されていく。
ここまで来たら抵抗なんてものはできない。
スイッチを入れられた私は、もう涼介の思い通り。
何度も何度も繰り返していくうちに、もう学習した。
あとは涼介が手を止めるまで好き勝手にされる。
今日はどこまで彼の手に狂わされるのだろう。
「愛佳が乱れていいのは俺の前だけだよ」
「……ん」
今日はやけに強引で。
本気で甘さに溶けてしまいそうだと思った。
けれどその理由はわからないまま、甘い時間だけが流れていた。