愛溺〜番外編集〜
④嫉妬と宣言
ここ最近、ため息の数が極端に増えた気がする。
「はぁぁ…」
「愛佳、せっかくの体育祭なのにまたそんな暗い顔して」
「んー…わかってるけど」
待ちに待った体育祭当日と言いたいところだが、私は気分が乗らないでいた。
原因はただ一つ、後輩である寛太に好きだと伝えられたためである。
まさか寛太が私を好きだなんて。
今でも信じられない。
「ほら、瀬野に怪しまれるよ?」
「多分もう怪しまれてる」
「もー、そんな弱気になって!」
沙彩が元気付けようとしてくれるけれど、中々気分が上がらない。
「だってどうしたらいい?」
「またそれ?
でも後輩くん、話聞いてくれなかったんでしょ」
「うーん、はぐらかすというより…何だろう、気合入ってて」
周りが見えない状態なのだろうか。
今の寛太はやる気で満ち溢れているのだ。
結局私は次の日から電車通学に変え、今日まで寛太を避け続けていた。
「あーあ、せっかくの楽しい体育祭が…」
競技が始まり、観戦の席も盛り上がる中、クラスの男子と話している涼介に視線を向ける。
もしこの話を涼介にしたら、どのような反応をするのだろうか。
なんて、こんなこと考えている暇があるなら早く解決しろという話だ。
その時、私の視線に気づいた涼介がこちらを向いた。
目が合うなり、彼は優しい笑みを浮かべる。
それだけでドキッと胸が高鳴る私は重症だろうか。