愛溺〜番外編集〜
新たなる敵
統一の目的が叶って数ヶ月が経った。
特に3チームの間に亀裂が走ることなく、平和な日々が訪れていた。
そんなある日、私と涼介は仁蘭のアジトに来ていた。
大きい地下室の奥にある小さな部屋で、今日は幹部全員が集まっていた。
どうやら涼介が呼んだ様子。
「あっ、愛佳ちゃんだ〜!」
「光希くん、久しぶりだね」
相変わらず光希くんは私に抱きつき、再会を喜んでくれる。
「今日も幸せそうで何よりだね!
涼ちゃんへの不満はない?大丈夫?」
「うん、大丈夫」
今のところ、特に大きな喧嘩もない。
というより、一方的に私が怒って落ち着かされている身だ。
決して涼介は怒らないのだから不思議だ。
こんな私に不満一つないのだろうか。
「……愛佳?」
「なんでもない」
思わずじっと涼介を見つめてしまう。
気になったけれど、今聞くことでもない。
私は涼介と並んで部屋のソファに腰を下ろす。
さらに私の隣には光希くんが座った。
悠真くんや響くんは先ほどから黙ったままで、翼くんは相変わらずゲームをしている。
心なしかいつもより空気が重い気がした。
何かあったのだろうか。
少し緊張感が流れていると、ようやく響くんが口を開く。
「今日集めたのは、【天帝】のことだろ?」
天帝、という初めて聞く単語に、何やら嫌な予感がした。
ふと涼介の方を見れば、彼は冷静な様子で頷いた。