愛溺〜番外編集〜
さらにルックスも完璧であるため、今日も服屋の従業員に目をつけられて。
私はヤケになって逃げてしまったのだ。
「ほんと…?」
「うん、実は私の彼氏も付き合う前、女の人と関係を持ってて…」
気づけば私たちは互いの不安を共有していた。
話すことで、不思議と心が軽くなった気がする。
今日、未央ちゃんと出会えて本当に良かったと思い、話に夢中になっていた時。
突然、部屋のインターフォンが鳴った。
思わずふたりとも、ビクッと肩を震わせてしまう。
もしかして未央ちゃんの彼氏に場所を特定されたのだろうかと、不安に襲われる中、恐る恐ると相手を確認すれば───
「…っ、涼介!」
その人物が涼介だとわかるなり、慌てて玄関の鍵を開けに行く。
「そんな嬉しそうに出迎えても無駄だよ。ちゃんと俺に説明しようね?どうして俺を置いて先に帰ったのか」
「うっ…」
安心したのも束の間。
先に帰った私に対してお怒りの様子。
ごもっともだ。
今回は確実に私が悪い。
「ご、ごめんなさい…本当に、緊急事態で」
「許すかどうかは全部話を聞いてからかな」
「でも本当に、女の子が困ってて…今も部屋にいるの」
「えっ?家に呼んだの?」
「そ、そう…困ってたから」
「初対面の女を家に上げるなんて、お人好しすぎにも程があるよ愛佳」
呆れたようにため息を吐かれてしまう。
本当に申し訳ない。
けれど多分、未央ちゃんを見たらわかってくれるだろう。