愛溺〜番外編集〜
「そう、同盟。
多分天帝も無駄な喧嘩は避けたいよね?」
ここに来てようやく涼介が神田の目を見た。
一体神田はどう答えるのか、少し緊張していると───
「神田くん…!同盟を組んだら喧嘩しなくていいんだって!良かった…じゃあこれから愛佳ちゃんと仲良くできるかな」
パァッと目を輝かせて神田を見上げる未央ちゃん。
そのような顔を向けられると、さすがの神田も拒否できないだろう。
「…っ、俺から考える時間をとらないで未央」
「へ…?」
「これは受け入れるしかないね。
本当に君はひどいやり方をする」
「何のことかな」
どうやら涼介の作戦勝ちのようだ。
神田は未央ちゃんの反応に負け、素直に条件を呑む。
相当惚れ込んでいるらしい。
惚れたら負けとはまさにこのことだろう。
つまり私と涼介で言うと、私が負けになるのだろうか。
「でもお互いにとって良いことしかないと思うけどな」
「……まあ、そうだね」
互いに冷静沈着で。
神田は未央ちゃんを後ろから抱きしめたまま、彼女の頬を指で撫でている。
慣れているのか、少し恥ずかしそうにしながらも抵抗しない未央ちゃん。
その時、不意に神田が私に視線を向けてきた。
突然のことで肩がビクッと跳ねてしまう。
「未央とこれからも仲良くしてあげてほしいな」
「それは、もちろん…私も未央ちゃんと仲良くしたいと思ってる」
「ほ、ほんと…!?
えへへ、嬉しいな」
嬉しそうに笑う未央ちゃんがかわいくて、私まで我慢できそうにない。
今すぐ抱きしめたい気持ちに駆られる。