愛溺〜番外編集〜
体育祭
①中学の後輩
だんだんと暖かさが増してくる5月上旬。
私は高校3年になった。
涼介や沙彩とクラスが離れてしまうかと不安だったけれど、偶然にも同じクラスになれて救われた。
もしクラス“までも”離れてしまったら、寂しさに押し潰されてしまいそうで不安だったのだ。
いつも通りの朝がやってきて、私は学校へ行く準備を始める。
私しかいない部屋は静かで、テレビの音だけが聞こえていた。
今もまだ、ふとした瞬間に寂しくなるけれど。
これまでと変わらぬ一人暮らしに戻っただけだ。
いや、これまでと“変わらぬ”というのは語弊があるかもしれない。
「よし、行こう」
今日、学校が終われば楽しみがあった。
それは涼介の家に行くこと。
手術が無事成功した涼介の母親が退院して、1ヶ月ほどが経った。
私は涼介と話をして、これからは母親と暮らす選択を取ったのだ。
最初は戸惑い、迷っていた涼介だったけれど。
私の言葉を受け止め、決心してくれて良かった。